消費税:納税義務の免除

2015年02月19日 10:55

今回は「消費税の納税義務の免除」について「設立2年以内」と「設立後3年以降」に分けて説明します。

設立2年以内の場合:ポイントは「資本金」

消費税の納税義務の有無は「基準期間の売上高」で判断します。
「基準期間」とは法人の場合「前々事業年度」ですので設立後2年間はどの法人も「売上高ゼロ」となり基本的に納税が免除されます。
しかしながら「年間売上1,000万円以下の小規模事業者」に適用される免除について実質売上で判定できない2年間はどんな規模の会社も免除されていいのか。というと。答えは「NO」です。売上高に代えて資本金で小規模事業者かどうかを判断します。
 
1年目・・・設立時の資本金が1,000万円未満 → 免除
                  設立時の資本金が1,000万円以上課税
 
2年目・・・2期目期首(事業年度開始時)の資本金が1,000万円未満 → 免除
                  2期目期首(事業年度開始時)の資本金が1,000万円以上課税
 
(例−1)500万円で設立・1年目に500万円増資の場合・・・設立時資本金 500万(免税)2期目期首 1,000万(課税)
(例−2)1,000万円で設立の場合・・・設立時資本金 1,000万(課税)2期目期首 1,000万(課税)
(例−3)500万円で設立・2年目に500万円増資の場合・・・設立時資本金 500万(免税)2期目期首 500万(免税)
 
スタートアップの会社は設立後すぐに増資を受けるケースが多いですが1年目の終わりに増資を受けるか2年目が始まってから増資を受けるかで消費税が免除になるかどうかが決まりますので注意しましょう。
 
【届出】
設立時の資本金が1,000万円以上・・・「法人設立届書」に消費税の新設法人に該当する旨の記載
期首の資本金が1,000万円以上・・・「消費税の新設法人に該当する旨の届出書

設立3年以降:ポイントは「売上高」のみ

基準期間がない設立後2年間は「資本金」という縛りがありましたが、3年目以降は基準期間がありますので「売上高」で小規模事業者かどうかを判断します。2年目が始まったらどれだけ増資しても資本金は関係ありません。
 
3年目以降・・・基準期間(前々事業年度)の課税売上が1,000万円未満 → 免除
                         基準期間(前々事業年度)の課税売上が1,000万円以上課税
 
基準期間が1年に満たない場合の課税売上高は 基準期間の課税売上高×12ヶ月÷基準期間の月数 で算出します。
また基準期間が免税事業者であった場合の課税売上高は税込総額で判断します。
 
【届出】
基準期間における課税売上高が 1,000万円を超えることとなった場合・・・「消費税課税事業者届出書
基準期間における課税売上高が 1,000万円以下となった場合・・・「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書
 

新設:特定期間の売上・給与に注意

税制改正により平成25年1月1日以降に開始する事業年度から「基準期間=2年前」の売上高にプラスして「特定期間=1年前の上半期」の売上高も免除の判断基準に加わることになりました。
2年前は売上高が1,000万円未満でも1年前の事業年度開始から6ヶ月間の売上高及び給与支払額が1,000万円を超えた場合は課税事業者になります。