消費税:課税事業者を選択すべきか否か。

2014年02月20日 15:37

前々年の課税売上高が1,000万円以下の事業者は消費税の納税義務が免除されます。2年前の売上高で判断しますので、つまり会社設立後2年間は何も届出をしなければ(&売上が1,000万円超えなければ)消費税を気にしなくていいので会計処理も税務申告も「簡単」です。

消費税はお客様から預かった「仮受消費税」から購入時等に支払った「仮払消費税」の差額を納付したり還付されたりするもので、事業者は本来「得も損もしない」ものです。

仮に800万円の売上に40万の仮受消費税、600万の費用に30万の仮払消費税の場合、預かった40万から支払った30万を差し引いた10万円を国に納付することになりますので、本来なら「行って来い」です。事業者は 売上 800万 費用 600万 利益 200万となります。

しかし課税売上が1,000万円以下の事業者は消費税が免除されますから、売上 840万 費用 630万 利益 210万となります。

課税仕入より課税売上が多い事業者にとってはお得な制度と言えます。

ただ。悩ましいポイントがいくつかあります。

消費税の納付義務がないということは還付を受ける権利もない。

課税売上が課税仕入より多い事業者はお得ですが、逆の場合「損」と考えることができます。

課税事業者なら、仮に600万円の売上に30万の仮受消費税、800万の費用に40万の仮払消費税の場合、預かった30万から支払った40万を差し引いた10万円について国から還付を受けることができます。

しかし免税事業者の場合、消費税の還付を受けることができません。

特に、設立したばかりの事業者は設備投資や開発費用等の初期投資、サービスの広告宣伝費や営業費用など比較的コストが増加しがちで、売上は数ヶ月後に軌道にのるといったケースが多いと思われ、1年目は赤字決算となることも少なくないと思います。

そのようなケースが想定できる場合は「消費税課税事業者選択届出書」を提出することによって、免税事業者でなく課税事業者となり、払い過ぎた消費税の還付を受ける事ができます。

成長と継続を目指しているなら安易に課税事業者を選択しない。

初年度はあまり売上が見込めなくて開発や準備でコストがかさむから、ここはひとつ課税事業者を選択して払い過ぎるであろう消費税の還付を受けよう。と考える人も多いと思います。

ただ、この課税事業者の選択届は、適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに提出する必要があり、また2年間は免税事業者に戻ることができません。まぁ確かに今年は赤字っぽいから課税事業者!来年は儲かりそうだから免税事業者!というのはさすがにズルいですよね。

では、1年目赤字見込だからといって課税事業者を選択して、2年目にすっごい利益が出たらいったいどちらが得でしょう。そのとき免税事業者が有利だったと気付いても戻ることはできません。成長と継続を目指しているならば安易に課税事業者を選択せず、事業そのものに集中する方が得策な気がします。

課税事業者になるか否かは事業開始前に決めなければならないこと、及び一度決めたらそう簡単に戻れないことを肝に銘じて意思決定して下さい。

ちなみにボクシング&キックボクシングジムは課税事業者を選択せず現在第2期を迎えています。課税事業者を選択しなかったことを後悔しないよう事業の成長に向けて頑張ります!